はじめに  

2004年8月31日(火)

 アテネオリンピックは終わった。選手は28競技301種目で技を競い合った。

 日本は、16個の金メダル、9個の銀メダル、12個の銅メダルを獲得した。

 人間の技はすごい。頭、2本の手、2本の足、胴体を使っていろんなことがで きる。

 驚異的な人間の技の一つが速記である。人の話を即座に書き取るこの技術、身 に付けておいて損はしない。

 人の話の文書化、速記録の作成は、速記技術、録音技術、コンピューター技術 の発達によって正確に速く作成し早く伝達することができるようになった。

 機械が発達することによって生活が便利になり、人間不在でも世の中が動いて いくような錯覚に陥りがちであるが、人間の技があればこそ機械が生きるのであ る。

 速記が書けると便利である。「ちょっと待ってプレイバックプレイバック、今 の言葉プレイバックプレイバック」と言わなくて済むようになるのである。一発 で人の話を即座に書き取ることができるのである。

 速記を取られる方も、速記を取られていると自分が偉くなったような気分にな って気持ちがいいものである。録音機をいきなり突き出されては警戒するもので ある。速記はその人の話の内容を書き取るだけだが、録音はその人の声も残して しまうので警戒されるのだろう。

 人が何を考え何を話し何をするかで世の中は動く。人の話は情報の原点だ。生 の情報をその場で書き取る速記技術はすばらしいものだ。人は自分に備わった能 力を当たり前に思ってそのすばらしさを忘れがちである。視力が落ちて初めて今 までの自分がすごかったとわかるものである。肉眼で何でも見える、何でも読め るということはすごいことなんだと。

 録音が発達し、コンピューターが発達した。文字認識、音声認識のソフトもで きた。もう速記は要らないのではないか、機械を上手に操れば会議録は自然にで きるのではないかという錯覚に陥りがちである。2年半も速記を練習し何年も何 十年も実務を経験してきたからこそ今があるということを忘れがちである。

 今後とも、速記の学習は必要だと思う。生の情報を取材するのに速記は欠かせ ない。速記と録音とコンピューターが噛み合ってこそいい仕事ができるのだ。

埼玉の速記兄ちゃん