裁判所の速記  

2010年12月12日(日)

 速記には、ライティングとタイピングがあります。
 裁判所の速記官は、タイピングで速記をとることができます。現場に出場して その場で人の話をタイピングにより一言一句すべて書き取ることができます。
 裁判所の速記官が日本速記協会主催の速記技能検定試験の1級に合格した例は あります。日本速記協会主催の高速度速記競技会に出場して入賞した例もありま す。タイピングでも350字5分間のスピードにたえて速記することができると いうことです。
 裁判所の速記がタイピングであるのに対して、全国の議会の速記のほとんどは ライティングです。
 裁判所の速記には実績がありますが、JISキーボード搭載のパソコンを使っ て速記ができたという話はまだ聞いたことがありません。
 反訳にJISキーボード搭載のパソコンを使うことは、今や当たり前になって いますが、JISキーボード搭載のパソコンを使って速記を書いて速記技能検定 試験の1級に合格したという実績や、JISキーボード搭載のパソコンで速記を 書いて高速度速記競技会で入賞したという実績はまだありません。
 私も、方法はともかく、現場に出場して人の話をその場で一言一句すべて書き 取ることができるのであれば速記であると言えると思います。
 私が初めてワープロを買ったのは、昭和60年でした。秋葉原で22万円の ワープロを1割引の20万円で買いました。職場の代議員ニュースに初めてワー プロを導入したのは私です。それから25年の月日がたちました。
 今や国民のタイピング能力はかなりの高水準にあります。単語登録等を駆使し てタイピングで速記が書ける人がいてもおかしくはありません。
 ちなみに、私は、日本商工会議所主催のワープロ検定の3級には合格したので すが、ワープロ検定の2級には、何回か挑戦したのですが、合格することができ ませんでした。
 ワープロ検定の1級が10分間900字のスピードでした。
 ワープロ検定の2級が10分間600字のスピードでした。
 ワープロ検定の3級が10分間400字のスピードでした。
 私のタイピング能力は、10分間500字程度です。
 それに対して、日本速記協会主催の速記技能検定試験1級のスピードは、10 分間3200字なのです。10分間500字程度の能力で10分間3200字が 打てるはずがありません。ましてや分速350字5分間の高速度速記競技会で入 賞できるわけがありません。
 また、衆議院速記士補採用試験は、民間にも門戸が開かれていましたが、これ の受験資格が「日本速記協会主催の速記技能検定試験の1級合格者であること」 でした。それが最低の条件なのです。1級に合格していても、みんなが採用され るわけではありません。国会速記者の多くは、2年生の8月試験で1級に合格し、 更に1年間練習した上で速記士補採用試験に臨んできたのです。
 今後、JISキーボード搭載のノートパソコンを使って日本速記協会の速記技 能検定試験の1級に合格する人が出てくることを期待しています。
 今のところ、JISキーボード搭載のノートパソコンを使って速記技能検定試 験の1級に合格した人は1人もいないと思います。まだ1級についてはパソコン の使用が認められていないということもありますが、それは反訳の手段としての パソコンであって、速記のためのパソコン使用ならば、裁判所の速記官のタイプ の使用に準ずるものとして、恐らく認められるのではないかと私は思います。
埼玉の速記兄ちゃん