速記問題における字数計算方法について  

2011年11月 5日(土)08時20分5秒

 10分間3200字といっても、ひらがなばかりの3200字と漢字ばかりの 3200字では、難易度に大きな差が出ます。また、縦書きで書くか横書きで書 くかによって字数は異なってきます。さらに、用字例の違いによっても字数は変 わってきます。  東京速記士会A級は10分間3200字とされていますが、一字空け、(了) を含む字数は3244字で、漢字を全てひらがなに置き換えますと4043字あ りました。  日本速記協会主催の高速度速記競技会は、句読点等を含めますと10分間当た り3700字になり、漢字をひらがなに置き換えますと10分間当たり4660 字にもなりました。
 字数無制限ならともかく、分速350字5分間とうたっている以上は、問題が 難しくなり過ぎないように、一定の歯止めを掛ける必要があるのではないかと思 います。
 具体的には、3200字の場合に3800音程度、3500字の場合には41 00音程度に抑えるべきではないかと思います。
 そして、出題者は「当たり外れ」がないように、試験問題の難易度を一定に保 つように工夫する必要があると思います。問題を作ったら、作るだけではなくて、 書ける問題かどうか、自分でも録音して速記してみるぐらいの配慮が必要かと思 います。


 合否や成績は、受験者の能力、受験者の年齢、速記法の優劣、受験者の練習量、 受験者の調子、問題の内容、問題の難易度、朗読のうまい下手などによって変わ りますが、朗読のうまい下手については、速記技能検定試験において、朗読を録 音機による録音の再生に切り替えることによって平等化が図られようとしていま す。
 私は、生の声による朗読の方が望ましいと思います。速記の試験は生の声を自 分の力でどれだけ正確に書き取ることができるかを見るためのものだと思うから です。生の声の方が朗読者の緊張感や迫力が伝わってきて良いと思います。しか し、朗読者によって朗読のうまい下手に個人差があり過ぎるので、録音再生の方 が平等だという意見が強くなっています。
 もう一つ、問題の難易度の均質化については、字数だけでなく音数の基準も設 けることによって、試験による当たり外れをできるだけなくし、問題の均質化が 図られなければならないと思います。
 速記は、書かなくなれば書けなくなります。書かなくなれば読めなくもなりま す。もちろん、書き過ぎて腱鞘炎になる場合もあり、やり過ぎても駄目ですが、 10分間3200字の試験に合格している人でも練習は継続すべきだと思います。 速記能力を落とさないためにも、機械依存症にならないためにも、正確な速記録 を作成するためにも、機械がどんなに発達しても現場の速記と速記者の養成と速 記の練習は継続していくべきだと思います。
 何だかんだ言っても、会議室の中央で速記を書くのが、一番よく聞こえるし、 一番よく見えるし、会議の状況もよく分かります。自分が頑張らなければ誰がや るんだというやる気や責任感も起こります。
 速記者の養成と採用をやめた場合に、速記録作成に向いた人をどういうふうに 集め、どういうふうに育て、どういうふうに運営していくのか、非常に難しい話 になると思います。
 プロでも能力はいろいろかもしれません。しかし、現在は10分間3200字 ミス2%以内の試験の合格者で固めているので粒がそろっているわけです。速記 の学習と速記の試験をなくしてしまうと、できる人とできない人との間の個人差 がひどくなって、粒をそろえるということが非常に難しくなると思います。速記 録作成者の安定供給ができなくなれば、良質で均質な速記録の作成も難しくなっ ていくのではないかと心配しています。

埼玉の速記兄ちゃん